令和2年度教育行政執行方針
作成日:2020年04月01日
最終更新日:2020年07月27日
今日、少子高齢化や人口減少、グローバル化の進展及び高度情報化の進展など社会が大きく変化する中、第6期総合計画で目指す将来像「2030年における下川町のありたい姿」を実現していくため、第2期下川町総合教育大綱(下川町教育推進計画)の基本目標「個性・可能性・魅力を伸ばす人づくり、すべての町民に生涯にわたり学習(スポーツ・文化を含む)する機会を提供し、特に未来を担う児童生徒には、包摂的かつ公平な質の高い教育の提供を目指す」に基づき、ESD教育「持続可能な開発のための教育」を推進し、持続可能な社会の創り手を育むことが重要であります。
はじめに、小中学校教育の充実について申し上げます。
子どもたちが、ふるさと下川に誇りを持ち、お互いに支え合いながら、生涯にわたって生き抜く力を身に付けることができるよう、学校、家庭及び地域が連携して教育力の向上を図り、全ての児童生徒の個性や可能性を最大限に伸ばし、夢と希望を持ち、これからの時代を生き抜く力の育成に努めて参ります。
また、身近な自然環境や歴史・伝統文化に触れる機会を通して特色ある教育活動を推進し、系統的に体験活動の充実を図りながら、ふるさと下川への愛着と誇りを育んで参ります。
さらに、発達段階に応じた教育の中で、確かな学力の育成を図るとともに、基本的な生活習慣や社会性の涵養、読書活動の推進など、豊かな心と健やかな体の育成をはじめ、教育環境の充実、家庭の教育力を高めることに努めて参ります。
本年度は、小学校において新学習指導要領の完全実施、中学校においては令和3年度実施に向けた移行期間であることから、新学習指導要領の基本理念であります「社会に開かれた教育課程」を踏まえ、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立った授業改善を行うことで、新学習指導要領の「育成すべき資質・能力の三つの柱」としての「学びを人生や社会に生かそうとする、学びに向かう力・人間性等の涵養」、「生きて働く、知識・技能の習得」、「未知の状況にも対応できる、思考力・判断力・表現力等の育成」を進めるとともに、現学習指導要領の基本理念であります子どもたちの「確かな学力」、「豊かな心」、「健やかな体」の調和のとれた教育の推進に向け効果的な学校経営・学級経営の確保に努めて参ります。
「確かな学力」の向上としては、全国学力・学習状況調査の分析結果を踏まえ創意ある教育課程の編成や、指導方法の工夫・改善などのカリキュラムマネジメントを進め、児童生徒の学ぶ意欲を高める教育活動を推進して参ります。
児童生徒の発達段階に応じた学習環境につきましては、新たに取り組むプログラミング的思考能力の育成にむけて、ICTの活用を推進し、情報処理に関する効果的な学習環境の整備を図るとともに、ギガ・スクール構想に伴う1人1台のタブレット導入に向け検討して参ります。
また、外国語教育の充実のため外国語指導助手(ALT)による外国語及び外国語活動の学習や国際理解教育の充実を図って参ります。
さらに、家庭学習への支援としては、引き続き低学年から学習する習慣を身に付けるため、ウィークエンドスクールを実施して確かな学力の向上に努めて参ります。
「豊かな心」の育成としては、道徳教育の果たす役割はきわめて大きく、特に道徳の教科化により、よりよく生きるための道徳性を養う「考え、議論する道徳」の実践に向け、指導方法の工夫改善や指導体制の確立を図るための支援を継続して参ります。
また、生命尊重や感謝・親切、公正・公平など、自他を尊重する思いやりの心を育成するため、学校教育活動全体を通じた人権教育の充実が図られるよう支援します。
「健やかな体」づくりと安全確保としては、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の分析結果を踏まえ、子どもたちの体力向上に向けて、体育の授業改善や学校・家庭・地域の連携により、体力向上を推進して参ります。
いじめ防止の取り組みについては、子ども同士の望ましい人間関係を醸成する学校経営・学級経営を通して未然防止に取り組むとともに、各学校が実施する定期的な調査や教育相談の実施により早期発見に努め、いじめの疑いがある場合には、組織的かつ速やかに対応するよう、各学校等への指導を徹底して参ります。
特に、デジタルメディアへの過剰・不適切な接触については、学校における情報モラル教育の一層の充実を図るとともに、保護者に対してはインターネットの安全・安心な利用に向けた家庭でのルールづくりを啓発して参ります。
また、不登校の児童生徒への支援につきましては、児童生徒が不登校となった要因を的確に把握し、学校関係者や家庭、必要に応じて関係機関が情報を共有し、個々の児童生徒に応じた組織的・計画的なきめ細やかな支援を行って参ります。
児童生徒の安全・安心の確保につきましても、交通安全教育や防犯教育による児童生徒の意識啓発に努めるとともに、通学路の安全点検を実施するなど、保護者や関係機関、団体との連携を図りながら、児童生徒の安全確保に万全を期して参ります。
特別支援教育につきましては、共生社会の形成に向けて、すべての児童生徒が共に学ぶインクルーシブ教育の理念を踏まえ、特別な支援を必要とする子どもたちに、切れ目のない一貫した教育が行われるよう、一人ひとりの教育的ニーズに応じた指導や支援の充実を図り、相談員による学習面や生活面に配慮が必要な児童生徒の実態把握と、就学前からの教育相談及び就学後の一貫した教育支援を行うため、必要に応じて、外部の専門家による指導助言を受けるとともに、小中学校に支援員を配置し、発達に課題がある児童生徒の学校生活を支援して参ります。
特色ある教育活動としては、子どもたちが自立と共生の豊かな心を持ち、活力あふれる人間に成長するため、身近な自然環境、歴史・伝統文化、地域産業など、地域の大人達から学ぶ機会を通した教育活動を進めるとともに、森林とのふれあいや林業体験などを通して学習する森林環境教育を行います。
キャリア教育についても、地域の未来を担う人材の育成の観点から、地域や地元企業等との連携協力のもと、一人ひとりの社会的・職業的自立に向けて必要となる資質・能力を育むため、一層の充実を図って参ります。
さらに、健やかな体づくりのための保健指導及び保健管理の充実に 努めるとともに、食に関する正しい知識と地産地消や望ましい食習慣の定着を図る食育の充実等の健康教育を推進して参ります。
コミュニケーション能力の育成については、児童生徒がお互いの考えや気持ちを認め合い、思いや考えを適切に表現することができるよう、各教科におけるディスカッション等による効果的な指導助言を行って参ります。
地域とともにある学校づくりとしては、コミュニティスクール(学校運営協議会)の中で児童生徒の実態及び課題を共通認識しているところであり、これらの課題解決のため学校運営協議会が主体となり地域や保護者に参画・協力いただけるよう事業の展開を図って参ります。
また、町で策定する「下川町地域共育ビジョン」の取り組みと連携して、地域で育つ子どもの育成を進めて参ります。
小中連携、一貫教育につきましては、義務教育の系統的・継続的な教育を行うため、第1に「9年間を通した子どもの学びのつながり」、第2に「子ども理解・生徒指導の連続性」、第3に「教職員の連携・協働」、第4に「家庭や地域とのかかわり」の4点を視点とし、発達の段階に応じた継続的な子ども理解を柱に「9年間の系統的教育課程の捉え直し」、「目指す子ども像の共有」、「系統性・連続性のある特別支援教育」などを推進し、知・徳・体の調和のとれた育ちの一層の充実を図って参ります。また、将来の学校施設の維持管理を検討するため、本年度は小中学校施設の長寿命化計画を策定して参ります。
幼小の連携については、小学校入学当初において、幼児期に自発的な活動としての遊びを通して育まれてきたことが、各教科等における学習に円滑に接続されるよう情報の共有・連携を確保して参ります。
次に、下川商業高等学校への支援について申し上げます。
近年、下川商業高等学校は、上川北学区の中学校卒業生の減少などにより、生徒確保が非常に厳しい状況である中、本年度は定員に近い出願者数となっており、引き続き、「地域に開かれた魅力ある学校づくり」を進めるため、新商品開発や販売実習会などの実践的なキャリア教育、地域の特性を生かした特色ある教育活動、入学促進のための支援及び部活動育成の支援を行うとともに、令和元年度に発足しました下川商業高等学校コミュニティスクール(学校運営協議会)との連携・協働を確保し、存続維持・発展に向けた振興策を進めて参ります。
次に、生涯学習の振興について申し上げます。
生涯を通した学びの支援による「人づくり」と「地域づくり」を進めるため、現代的課題や多様化する社会に対応する学習機会の提供を図るとともに、地域の課題解決や様々な地域活動に参画していくことが一層重要となっています。
そのため、生涯各期における学習活動の機会の提供と環境整備に 努めるとともに、生涯学習に対する町民のニーズが多様化していることから、町民自らが自由に学習機会を選択できる生涯学習体制の充実を推進して参ります。
家庭教育においては、保護者が子どもの健やかな成長に必要な正しい生活習慣や学習習慣を学び、家庭の教育力向上に寄与するため、子どもの発達段階に応じた各種セミナー、ブックスタート及び体験講座などの学習機会を提供するとともに、親子の絆を深める取り組みを実施して参ります。
児童室においては、親子が安全で安心してふれあえる場を提供するとともに、放課後児童の安全と居場所を確保して参ります。
青少年教育においては、子どもたちの人格の基礎が作られる最も大事な時期であることから、学校・家庭・地域社会が連携を深め、良好な環境づくりを推進するとともに、キッズスクール等による各種体験活動を提供し、未来を担う青少年の育成に努めて参ります。
成人教育においては、多様化する価値観の中で、趣味や生きがいを求めて多くのサークルや団体が活動しております。学びは個人の資質向上ばかりでなく、仲間づくり、地域づくりに必要であることから、学習ニーズに対応した講座や現代的な課題に対応した講座等の学習機会を提供するとともに、マイプランマイスタディー事業による自主学習と仲間づくりを推進して参ります。
高齢者教育においては、各種交流会や高齢者学級などの機会を提供するとともに、高齢者が持つ知識、技能や経験を活かし、健康で生きがいのある充実した生活を送られるよう努めて参ります。
図書室においては、図書資料の充実を図るとともに、町民の読書を通した主体的な学びや活動を支援し、町民に親しまれる図書室づくりを進めて参ります。
また、読み聞かせや読書イベントにより、子どもの読書活動を推進し、幼児が本に親しむきっかけを作り、子どもの表現力や創造力の醸成を図るとともに、親子のふれあいを推進して参ります。
次に、生涯スポーツの振興であります。
生活習慣の変化などによる精神的なストレス、体力及び運動能力の低下などから、心身の健康や体力づくりに関する意識が高まっております。
スポーツは、爽快感・達成感という精神的な充足や喜びをもたらすほか、健康の保持増進や体力向上を図る大きな役割を果たすことから、町民が気軽にスポーツに取り組んでいただけるように、年齢や体力にあった健康づくりや仲間づくりにつながるスポーツ教室の開催などを進めて参ります。
競技スポーツにおいては、スポーツ協会加盟団体やスポーツ少年団に対し活動の支援を行うとともに、各種競技大会の開催など、競技力向上や仲間づくりの推進に努めて参ります。
また、少年団等から全道・全国に出場する選手がいることから、スポーツ少年団活動に対する支援策として、少年団に対する活動費助成、指導者等資格取得に対する助成、共用備品への助成、青少年の文化・スポーツ活動での全道全国大会参加への支援などを図り、保護者の負担軽減と青少年健全育成の推進及びスポーツ競技力の向上を目指します。
本町のスポーツ文化であるノルディックスキージャンプにおいては、全道・全国・世界大会に出場する選手を輩出することで、子どもたちのみならず、町民に感動と勇気と可能性をもたらしていることから、幼小中高一貫指導を継続し、世界を目指す選手の育成を推進して参ります。
また、スポーツ施設においては、老朽化の進んだ施設や利用が少ない施設もあることから、スポーツ協会、スポーツ少年団及びスポーツ愛好者等、広く町民の意見を把握し、今後の体育施設の整備等について検討を進めて参ります。
次に、芸術文化の振興であります。
町民の創造性や感性を育み、心豊かで活力ある社会を実現するためには、優れた芸術文化に接する機会の充実や活動の活性化を推進することが必要であり、その良さを実感できる質の高い芸術文化を提供するとともに、文化団体に対し支援して参ります。
文化財保護活用としては、地域の歴史や伝統文化を後世に伝えるために、文化財の保存や活用に取り組むとともに、無形文化財である「上名寄郷土芸能」につきましては、積極的な伝承活動が行われており、今後も郷土芸能を永く後世に伝えるために支援するとともに、多くの町民が触れる機会の充実を図って参ります。
また、郷土資料については、引き続き調査整理を進め、今後の資料の保存・整理・活用等について検討するとともに、ふるさと交流館、札天山収蔵館は、管理運営を見直して開館期間等の縮小を行って参ります。
以上、教育行政執行の概要を申し上げましたが、変化の激しい時代の中、こうした変化に対応するため、生涯を通して学び、考え、様々な困難を乗り越えながら、いくつになっても夢と志の実現のために挑戦し、自らの人生を切り拓き、より良い社会づくりと幸福な人生を自ら創り出していくための支援をすることが教育の使命であります。
これらの使命を果たすべく、学校・家庭・地域・行政の連携の下で、一丸となって本町教育行政の充実・発展に取り組んで参ります。
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